箱を開けた瞬間、まず目に飛び込んでくるのは、18Kホワイトゴールドと18Kイエローゴールド、それぞれが放つ異なる輝きだ。光を柔らかく受け止めるホワイトゴールドと、温かみのある表情を見せるイエローゴールドは、同じデザインでありながら印象を大きく変え、静かに個性を主張する。手に取ると、ケースの薄さと軽やかな装着感が想像以上で、上質なゴールド素材ならではの滑らかな質感が心地よく指先に伝わる。
今回は、1949年に発表された名作コレクションを現代的に復刻した「デ・ヴィル トレゾア マスター コーアクシャル」を実機でレビューする。イエローゴールドとホワイトゴールド、二つのゴールドモデルが生み出す表情の違いに注目しながら、その完成度と魅力を確かめていきたい。
1949年の名作が最新ムーブメントで現代に蘇る
このモデルの背景には、オメガの時計史の中でも重要な転機がある。1949年、薄型のドレスウォッチとして登場した初代トレゾアは、その繊細なケースワークと精巧な手巻きムーブメントで多くの愛好家を魅了した。
それから半世紀以上の時を経て、最新のマスター コーアクシャル キャリバー8511を搭載し、現代的な耐磁性と精度を手に入れた形で復活を遂げたのが、このモデルだ。
手巻き式ながら15,000ガウスもの耐磁性能を備え、現代の生活環境でも安心して使えるのが魅力。裏蓋はスケルトン仕様で、丁寧に仕上げられたブリッジや香箱の動きをじっくりと鑑賞できる。リューズを巻いたときに指先に伝わる手巻き特有のクリック感も心地よく、実機ならではの感触が楽しめる部分である。
ヴィンテージの香りと現代の美が交差するデザイン
手に取ってまず印象的なのは、ドーム型の風防とケースフォルムがつくり出す柔らかなラインだ。角度を変えるたびに光が滑らかに移ろい、ヴィンテージウォッチのような穏やかで上品な空気をまとっている。
文字盤には細やかなクル・ド・パリ模様が施され、光の粒が盤面に静かに広がっていく。この繊細な装飾が、シンプルな2針構成と相まって、静謐で洗練された印象を強めている。クラシックでありながら、現代のスタイルにもすっと溶け込む完成されたデザインだ。
ロレックスのドレスウォッチと比べても納得の“選ぶ理由”
ロレックスの「1908」など、各社がドレスウォッチ市場でしのぎを削るなか、このトレゾアはクラシックとモダンのバランス、ムーブメントの美しさ、そして価格の適正さという三拍子で強い存在感を放っている。
18Kゴールドケース+マスター コーアクシャル+クル・ド・パリ模様という仕様を考えれば、この価格設定はむしろ良心的といえる。

静かに、確かに輝くクラシック
さて、このトレゾアを腕に乗せると、まず驚かされるのはその万能性だ。フォーマルなスーツにはもちろん、ジャケット×デニムやニットといった上品なカジュアルスタイルにも自然に馴染む。ホワイトゴールドの落ち着いた輝き、そしてイエローゴールドがもたらす温かみのある存在感は、それぞれ異なる表情を見せながらも、装い全体の格をさりげなく引き上げてくれる。
デ・ヴィル トレゾア マスター コーアクシャルは、手に取って初めて、その静かな力強さと完成度の高さを実感できる一本である。派手さで主張するのではなく、作りと佇まいで魅せる時計。素材の違いによって印象を変えながらも、1949年から続く名作の系譜と本質は揺るがない。現代的な技術で受け継がれたこのトレゾアは、クラシックの真価をじっくりと味わいたい人にこそ相応しい存在だ。







