箱を開けた瞬間、目に飛び込んでくるのは、光を柔らかく受け止めるホワイトゴールドケースの静かな輝きだ。手に取ると、その薄さと軽やかさが想像以上で、冷んやりとした金属の質感が心地よく指先に伝わる。
今回は、1949年に発表された名作コレクションの復刻モデル、デ・ヴィル トレゾア マスター コーアクシャル Ref. 432.53.40.21.02.004 を実機でレビューする。
1949年の名作が最新ムーブメントで現代に蘇る
このモデルの背景には、オメガの時計史の中でも重要な転機がある。1949年、薄型のドレスウォッチとして登場した初代トレゾアは、その繊細なケースワークと精巧な手巻きムーブメントで多くの愛好家を魅了した。
それから半世紀以上の時を経て、最新のマスター コーアクシャル キャリバー8511を搭載し、現代的な耐磁性と精度を手に入れた形で復活を遂げたのが、このモデルだ。
手巻き式ながら15,000ガウスもの耐磁性能を備え、現代の生活環境でも安心して使えるのが魅力。裏蓋はスケルトン仕様で、丁寧に仕上げられたブリッジや香箱の動きをじっくりと鑑賞できる。リューズを巻いたときに指先に伝わる手巻き特有のクリック感も心地よく、実機ならではの感触が楽しめる部分である。
ヴィンテージの香りと現代の美が交差するデザイン
手に取ってまず印象的なのは、ドーム型の風防とケースフォルムがつくり出す柔らかなラインだ。角度を変えるたびに光が滑らかに移ろい、ヴィンテージウォッチのような穏やかで上品な空気をまとっている。
文字盤には細やかなクル・ド・パリ模様が施され、光の粒が盤面に静かに広がっていく。この繊細な装飾が、シンプルな2針構成と相まって、静謐で洗練された印象を強めている。クラシックでありながら、現代のスタイルにもすっと溶け込む完成されたデザインだ。
ロレックスのドレスウォッチと比べても納得の“選ぶ理由”
ロレックスの「1908」など、各社がドレスウォッチ市場でしのぎを削るなか、このトレゾアはクラシックとモダンのバランス、ムーブメントの美しさ、そして価格の適正さという三拍子で強い存在感を放っている。
ホワイトゴールドケース+マスター コーアクシャル+クル・ド・パリ模様という仕様を考えれば、この価格設定はむしろ良心的といえる。
静かに、確かに輝くクラシック
さて、このトレゾアを腕に乗せると、まず驚くのはその万能性だ。フォーマルなスーツにはもちろん、ジャケット×デニムやニットといった上品なカジュアルスタイルにも自然に馴染む。ホワイトゴールドの落ち着いた輝きが、装い全体の格をさりげなく引き上げてくれる。
デ・ヴィル トレゾア マスター コーアクシャル Ref. 432.53.40.21.02.004 は、手に取って初めて、その静かな力強さと完成度の高さを実感できる一本である。派手さではなく、作りと佇まいで魅せる時計。1949年から続く名作の系譜を、現代的な技術で継ぐこの時計は、クラシックの本質を味わいたい人にこそ相応しい。




























